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JACET Study Group for Literature in Language Education (JACET文学教育研究会第13次プロジェクト)

12月例会のお知らせ

JACET関西支部文学教育研究会の皆さま

秋も深まって参りました。皆さまいかがお過ごしでいらっしゃいますか。JACET関西支部文学教育研究会は、下記の要領で2022年度12月例会を開催します。例会が近づいて参りましたら、ZoomのURLをお送りいたします。皆さまのご参加をお待ちしております。
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日時: 2022年12月3日 土曜日 午後2時~午後5時
会場: Zoomを用いたオンライン

プログラム:
1.【ご講演】柾木貴之先生(北海学園大学)
タイトル: 英語教育と国語教育の連携:文学教材を中心に
要旨:

 2017・2018年告示の学習指導要領では、小中高すべての段階で「英語教育と国語教育の連携」(以下「連携」)が推奨されている。本講演では文学教材を中心に、「連携」の歴史、方法、実践について考察を行う。 
 「連携」の歴史について文献調査を行うと、「連携」に向けた提言は、明治期から存在することがわかる。文学教材を通した「連携」については、河野喜好(1936)「英語
と国語」(『中等教育の実際』第18号)が国語教科書に掲載された翻訳作品を通した「連携」に言及している。それ以降も「連携」の提言は連綿と存在したが、公刊された資料に基づく限り、「連携」と銘打った実践が確認できるようになるのは、2000年以降に
なってからである。
 これまでに確認できた13校の実践を対象に、「連携」の方法について分析すると、多
くの学校は英語科と国語科で共通目標を定めた上で、共通教材や共通活動を設定してい
る。この中には、文学教材の原文とその翻訳を用いた実践が複数あり、具体的な教材と
しては、夏目漱石『こころ』、『百人一首』、松尾芭蕉の俳句などがある。これらの実
践について学習者の反応を紹介した後、2022年度から高等学校で使用が開始された国語
教科書・英語教科書について分析を行うことで、文学教材を利用した今後の「連携」の
あり方について考えたい。

2.杉村寛子先生(大阪電気通信大学)[発表者・代表]
共同研究者 南津佳広先生(大阪電気通信大学)・工藤多恵先生(関西学院大学)
タイトル: 物語の翻訳に見る思考の過程―いかにして「論理的想像力」を引き出すか、あるいは引き出せるか―

要旨:
文学作品を読む過程でいかに思考が刺激されているかという問いを探るべく、言い換えれば、文学作品を読んでいるとき思考は複合的に働いているはずだということを確かめるべく、ここ数年掛け、発表者は共同研究者らとともにいくつかの教材や方法を用いて試行授業を重ねてきた。本発表ではその一端を紹介するつもりで、なぜ文学作品を教材とするのかという理論的な説明に始まり、大学の英語の授業においてどのような思考力を涵養する目的で、どのような手段を用いてその思考の働きを可視化しようとしたのか、またその結果についてごく簡単に報告する。文学作品と言ってはみたものの、試行授業では700 wordsに満たない簡易な英語で書かれた物語を扱ったに過ぎず、しかもその結果については、発表のタイトルには到底及ばない、小さい話になってしまうこと必至だが、聴衆の皆様から示唆あるいは教示をいただける機会とさせていただければ大変ありがたい。また時間に余裕があれば、南津氏と開発した教材「翻訳読本」を紹介できればと思う。

3.内藤満先生(京都産業大学)
タイトル: 「夏目漱石『坊っちゃん』の英訳を読む」
要旨:

通信教育課程のスクーリングで行った授業の報告をします。本研究会では今まで、『古事記』や『源氏物語』、『おくのほそ道』など、日本文学の古典で英訳が出版されているものをテキストとした授業の報告を何度かさせてもらいましたが、今回は夏目漱石の『坊っちゃん』の英訳を読んだ授業の報告です。英訳『坊っちゃん』から「冒頭部分」、「教師紹介」、「イナゴ事件」の3箇所を選んで読みました。テキストとして、4種類の訳者の異なる英訳を取りあげました。合間に何回かグループで議論をして発表する時
間もとりました。議論のポイントは、原文と英訳もしくは英訳どうしの相違点、訳者が工夫・苦労していると思われる点、訳文の好き嫌い・良し悪しとその理由、文学的表現か否か、などです。馴染みのある日本の作品を英語で読むことで、英語が学習しやすくなり、興味も持てると思います。また、日本語と英語を比較することで、文化的な違い、文学的な表現などの理解にもつながることを期待しました。

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JACET関西支部文学教育研究会
代表  五十川敬子
副代表 時岡ゆかり
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2022-11-10 : 例会案内 :
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2022年10月例会のお知らせ

ACET関西支部文学教育研究会の皆さま

JACET関西支部文学教育研究会は、下記の要領で2022年度10月例会を開催します。例会が近づいて参りましたら、ZoomのURLをお送りいたします。
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日時: 2022年10月22日 土曜日 午後2時~午後5時
会場: Zoomを用いたオンライン
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1. 児玉恵太先(椙山女学園大学)
タイトル: 英語ハイクの実践:クリエイティブ・ライティング

要旨:
本発表では、発表者が大学生を対象にして英語の俳句を創作した授業実践を紹介する。俳句は欧米諸国においても広く認知され、積極的に言語教育に活用されている。日本人英語学習が第二言語としての英語で俳句を創作することの教育的意義として、吉村・阿部(2003)は次の点をあげている。
1.初めてトライしても、それなりに作品ができる
2.英語を媒介にしているから、世界の多くの人々とコミュニケートできる
3.英詩への導入になる
4.日本の古典文芸の再認識につながる
5.異文化相互理解の教材になりえる
6.ハイクは自然と人間の共感を読む詩であり、
7.21世紀におけるグローバルな課題である自然環境保全への共通認識を育てることができる。
本発表では、上記の教育的意義を踏まえた上で、英語ハイクを授業実践として日本の英語学習の教室活動に取り入れるための実践的なアプローチを中心に紹介し、実作例などを交えつつ、クリエイティブ・ライティングという観点から英語教育への効果的な応用可能性について議論する。

2.戸出朋子先生(広島修道大学)
タイトル:文学を活用した英語教育とSLA研究の接点 ―「遊び」の観点から―

要旨:
現実世界での実用目的のために英語でコミュニケーションする能力の育成を重視した英語指導が大勢を占める一方で,文学作品を味読することを通した英語教育が地道に続けられている。第二言語習得(SLA)研究に従事する発表者は,文学に明るくはないが,この文学教育研究会に時折参加する中で,文学を活用した英語教育の位置づけにおいてSL
A研究がどう貢献するかを考えたいと思うようになった。本発表では,SLA研究のうち,「ことば遊び」(language play)に注目したアプローチ(Tarone, 2000; Bell & Pomerantz, 2016; Tode, under review)に着目し,文学を活用した英語教育とSLA研究の接
点を探る。ことば遊びとは,ことばで遊んで,存在しない世界を創り出すことで,コミュニケーションに遍在し,習得にも重要な役割を果たすと言われている。ことば遊びと文学性(literariness)の関連に言及し,ことば遊びSLA研究を参照しながら,文学を
活用した教育の強みや習得を促進する教育について議論したい。

3.【ご講演】野口ジュディー先生(神戸学院大学)
タイトル:Building social capital through literary competence

要旨:
English teaching today strongly emphasizes communication as the learning goal. However, focusing only on the referential function of language overlooks the opportunities to foster creativity and imagination. These latter functions are essential for building the social capital that humans need to support efficient economies and stable governing systems. Social capital is based on bonding, bridging and linking mechanisms among people at local, national and international levels. While global communication has been facilitated by the Internet, what is worrisome today are the effects that social media are having on human brains. Now more than ever before, it is important to use literary texts to involve students emotionally and
spark their imagination and creativity to elicit personal responses and reactions. This talk will explore how introducing literary texts into language teaching can make language learning an enjoyable and meaningful
experience.
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JACET関西支部文学教育研究会
代表  五十川敬子
副代表 時岡ゆかり
2022-09-26 : 例会案内 :
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6月例会のお知らせ

文学教育研究会の皆様へ

平素より文学教育研究会にご理解、ご協力を賜り有難うございます。6月例会(Zoom開催)のご案内をいたします。

6月25日(土)の例会では、多読について4人の先生方がお話し下さいます。タイトルと要旨は以下の通りです。多くの先生方がご参加下さいますことを願っております。Zoomの URL は後日改めてお送りいたします。

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日時: 2022年6月25日 土曜日 午後2時~午後5時
会場: Zoomを用いたオンライン
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1.桜井延子先生(京都産業大学)
タイトル:多読が統制的発表語彙に与える影響について

要旨:
本発表では、統制的発表語彙に対する多読の影響について、研究結果を報告する。被験者は大学1年次生62名で、2020年の入学時、多読開始8ヶ月後の12月、コロナ禍中の2021年5月に、The Productive Vocabulary Levels Test(2000語レベル)を受験した。テスト結果を用いて行ったt検定の結果、多読のどの要素が2度目のテスト結果に影響を与えたかを調べることを目的に行った重回帰分析の結果、3度目のテストで2度目の点数を維持、または、2度目のテストよりも点数を上げた12名の学生と点数が下がった学生50名のグループ間の差について発表する。 

2.黛 道子先生(日本保健医療大学)
タイトル:医療英語の指導法を工夫する:多読的アプローチ

要旨:
海外との交流が増えるにつれ、日本で病気になったり、ケガをする外国人も増えており、医療従事者は医療現場で使う基本的な英語表現を身につけることが求められている。しかし、それらの語彙や表現は日常、目にする英語のリーダーや記事には登場しないため、記憶に残りにくく、定着させるのが難しい。そこで、ゲームなどさまざまな形式の練習と共に、多読向きの読み物を使用した。それらのカラフルな挿し絵は用語のイメージを記憶に残すのに役立ち、さまざまな読み物を読むことで、医療英語を目にする機会を増やす効果があったものと推測している。授業開始前に行った医療語彙のテストはほとんどできていなかったが、1年後の終了時、予告なく同じテストをしたところ、格段に点数が上がり、学生自身が自分の進歩に驚いていた。今回はこの授業で実践したことをご紹介する。

3.稲垣俊史先生(同志社大学)
タイトル:大学における英語多読の実践について

要旨:
同志社大学における英語多読の実践に関して、以下の2点に焦点を当てて報告いたします。
1)2021年度秋学期の某クラスにおけるXreadingの導入
2)MReaderを使って4年間多読を続けた一学生の事例研究
1に関しては、学生の読書記録、授業アンケート結果からXreadingの利用可能性について考察します。2に関しては、4年間の読書記録、習熟度テストスコアの伸び、本人とのインタビューをもとに長期的多読の可能性について考察します。本発表が、大学英語教育における多読実践の参考になれば幸いです。

4.高瀬敦子先生(岩野英語塾)
タイトル:多読を成功に導く鍵-量的・質的研究-

要旨:
過去約30年間に小学生から大人までの多読指導を行い、効果的な多読の方法を探ってきた。英語運用能力が向上した学習者には、どの年齢層にも共通する要因がみとめられた。Day (2002)のTop Ten Principles for Teaching Extensive Reading に加えて、質的な要素を紹介する。

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尚、今後の2022年度例会は、10月22日と12月3日に開催しますのでご予定いただけます
と幸いです(いずれもZoom開催)。

JACET関西支部文学教育研究会
代表  五十川敬子
副代表 時岡ゆかり
2022-05-30 : 例会案内 :
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4月例会のお知らせ

文学教育研究会の皆様へ

平素より文学教育研究会にご理解、ご協力を賜り有難うございます。2022年度の例会はすべてZoomで開催いたします。日程は、4月23日、6月25日、10月22日、12月3日ですので、ご予定のほど宜しくお願い申し上げます。

さて、4月23日(土)のZoomの例会では3人の先生方がお話し下さいます。タイトルと要旨は以下の通りです。(添付したPDFも同じ内容です)多くの先生方がご参加下さいますことを願っております。尚、Zoom の URL は後日あらためてお送りいたします。

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日時: 2022年4月23日 土曜日 午後2時~午後5時
会場: Zoomを用いたオンライン

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ご講演
1. 渡千鶴子先生(元関西外国語大学教授)
タイトル: 英文学教育:簡約版のあと原書に触れる

要旨:
本物のテキスト素材を使用するのは理想であるが、翻訳の使用や、教員の介在する時間が多すぎる場合、学生のリーディングスキルは向上しないし、文学作品から得られるはずの喜びや成長を促すことにはならない。その点、学生の言語レベルに合致した教材、教員が編集した教材などが適切であると先行研究に述べられている。それゆえ簡約化されたテキストを使用して、そのあと英文学作品の原文に触れる授業を試みている。いわゆる多読教材に関しては、本研究会でも様々な使用方法やその成果が報告されている。それらと比較すると、本発表は正当な授業方法とは言い難い側面を持つ。なぜなら3個のタスクを熟すだけであるからだ。しかしこれらは原文に触れるときに役立つことが学生のアンケートから推察できる。加えて原書の訳読と味読に関しても触れる。

2.齋藤安以子先生(摂南大学)
タイトル: Romeo and Juliet を演じながら読む:外国語で劇を作るプロセスと、学習指導要領のリンクの検証とともに

要旨:
Shakespeareの人気作Romeo and Julietは、主人公の2人が前半は幸せまっしぐら、後半が破滅的な終わりに向かって引き返せなくなる悲劇、というダイナミックな変化を遂げる劇です。16世紀終わりの英語で書かれた原作を元に、舞台化、翻訳、映像、漫画、翻案、そして英語学習者向けにさまざまなgraded readersが制作されています。原作のスピード感を外国語での読解にもたらすには、授業時間の全てをじっくり深く読む作業には費やせない、しかし原作の言葉の芸術も学生と共有したい、もちろん劇としてのおもしろさも体感しながら。1教材に対して欲張りだろうか、とも思いますが、Shakespeare作品に関しては、学習者にとって英語が第1言語でもなくても、授業でどう扱ったかのアイディアを共有してくださる場所が多く、熱い思いを抱く同好の士が世界中にいることが励みになります。また、外国語学習の場での演劇要素(劇を作る工程)は、中学・高校の学習指導要領の外国語の言語活動に対応する要素が数多くあります。総合的な言語の使い方を学ぶには、文学作品や演劇要素は優れた教材・学習方法です。発表では、対面とオンラインの授業での実践例を、一部はぜひ研究会の皆様にも試していただこうと思います。Zoom例会にご参加の際、ぜひ日頃お使いの、金属のお食事用ナイフとフォーク(スプーンもOK)、ご用意ください。

3. 松本先真治生(佛教大学)
タイトル: 佛教大学英米学科2022年度新入生を対象とした文学と語学に関する意識調査

要旨:
文学教育研究会では何度も同じテーマで発表させていただいて恐縮ですが、今回も発表の機会を頂戴し感謝申し上げます。今回は2022年度新入生を対象とした調査結果を報告する予定ですが、今回の調査には発表者自身が大きな関心を抱いています。というのも、佛教大学では2019年4月から新カリキュラムがはじまり、今年は4年目の完成年度だからです。とりわけ英米学科のカリキュラムは大きく変化し、2年生秋学期には全員海外研修に参加することを必修にしました。しかしながら新型コロナウイルス感染症のために、この留学プログラムはまだ一度も実現できていません。さらに2021年度は、お恥ずかしながら、定員の70名を確保することができませんでした。このような4年間に英米学科に入学してきた学生の文学と語学学習に対する意識はどのようなものであるのか、についてもお話しさせていただきます。

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JACET関西支部文学教育研究会
代表  五十川敬子
副代表 時岡ゆかり
2022-03-22 : 例会案内 :
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文学教育研究会12月例会のお知らせ

平素より文学教育研究会にご理解、ご協力を賜り有難うございます。

12月4日(土)にZoomを用いたオンラインで例会を開催いたします。今回の例会では3組の先生方がお話し下さいます。タイトルと要旨は以下の通りです。多くの先生方がご参加下さいますことを願っております。尚、Zoom のURL は後日あらためてお送りいたします。

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日時: 2021年12月4日 土曜日 午後2時~午後5時
会場: Zoomを用いたオンライン
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1. 工藤多恵先生(関西学院大学) 杉村寛子先生(大阪電気通信大学)
タイトル:  文学テクストを用いた「論理的想像力」の涵養方法を探る
- アシモフの短編小説を教材とするオンライン授業の実践報告 -
要旨:

 発表者らは、ヘミングウェイの短編小説 “Cat in the Rain”(1925)などの文学テクストを用い、テクスト内の情報にのみ基づき答えることのできる問いだけではなく、知識や経験に照らして考えなければならない推論発問を設け、学習者のなかでより深い思考が促されるようにグループ・ディスカッションを中心とした授業を行ってきた。
 以上の研究実績を踏まえ、本発表では、アイザック・アシモフの短編小説 ?The Fun They Had”(1951)を用い、「論理的想像力」の涵養する方法を探るべく実施したオンライン授業について報告する。
 一般に「想像力」と言えば、現実とかけ離れた、取り止めもないことを思い巡らす「空想」と思われがちで、論理性とは結びつきにくいであろう。しかし、Alec Fisher(2011)は、所与の問題に関連する知識や経験に基づき、さまざまな可能性を想像できる者
は、それらの可能性を論理的に検討した上で、最終的に十分な根拠のある判断が下せるようになると述べている。このように想像力が論理的な思考の礎となっていることから、一般的に理解されている「想像力」の概念とは異なることを明らかにするために、発表者らは上記のような働きをする想像力を「論理的想像力」と呼ぶことにする。ここでは、この想像力を文学テクストの読みの過程に当てはめ、テクスト内情報に基づく推論とテクスト外の知識や個人的な経験がどのように論理的に関連づけられ、最終的にどのような解釈が生み出されていくのかを見ていく。
 また今回の授業形態がオンラインであったことから、学習者同士のグループ・ディスカッションを円滑に進めるため、そして学習者のディスカッション前と後の思考の変化を可視化するために、クリティカル・ファシリテーション(高見・木下, 2017)の手法を用いた。ディスカッション後の学習者のレポート、また振り返りを分析し、試行授業が「論理的思考力」の向上にどのように貢献したかを考察した。

2.須田久美子先生(富山大学)
タイトル: 『サロメ』と絵画―芸術系学部における専門と英語の連接を目指して
要旨:

 芸術系学部における英語の授業で、オスカー・ワイルド作『サロメ』を扱った実践についてお話しいたします。学生は、それぞれが選んだ分野で専門教育を受けています。そこで、彼らの芸術の学びと連接できるような英語教育の内容を文学作品を扱う中で模索してみました。その際、専門分野を横断して芸術一般についての学びがより専門性をもって深められるよう、芸術を専門とする先生に指導に加わっていただく場面も設けました。
 作品を読むことを通して英語力の伸長を目指すだけでなく、オーブリー・ビアズリーの挿絵と共に出版されたこの演劇作品を扱うことで、芸術の学びにもつながり得る授業を目指しました。また、本発表では茶道をテーマにした授業についてもお話しいたします。こちらも、芸術系の大学だからこそ実現できた取り組みです。

3. ご講演  幸重美津子先生(学習院大学)
タイトル: 英語教育における文学素材 ~IT時代の楽しみ方への提案~
要旨:

 大学の教養課程における、あらゆる学部の英語教育が英文学作品を読むことだったのは、いつの頃だったろうか。いまでは英語を専攻とする学科名も「英文学科」から「英語コミュニケーション学科」などに変更されたところが多く、購読の授業では文学以外の素材を使用することを求める大学もある。その昔あれほど英文学に魅せられた筆者も、勤務する大学の要請もあり、今では文学素材を授業で使用することがほとんどなくなってしまっている。英文学を精読するのはそれを専攻する学生だけになってしまったのか。英文学素材というものは、現代の英語教育の目的にそぐわなくなってしまったのだろ
うか。
 確かにSNSsが普及し、情報発信や受信にスピード感が必要とされる今、人々の視点は過去よりも現在、あるいはこれからの出来事に向いているのかもしれない。以前は英文を「読み解く」力に焦点が置かれていたスキルも、現在はよりproductiveなスキルが求められる。当時は手に入りにくかった英語教材や支援ツールも、ふんだんに溢れ簡単に手に入る。文学の深さをじっくりと時間をかけて味わえるのならそれに越したことがないのは言うまでもない。しかし、今どきの学習者のニーズやスピード感覚により合致することで、文学への興味を「惹き」だす方法はないだろうか。本講では『文学教育実践ハンドブック』(JACET関西文学教育研究会、2013)を今一度振り返りながら、さらに一歩進んで現代の学習者のITリテラシーに着目してMOOCs、OCWあるいは機械翻訳(NMT)やアプリを活用しながら、活字離れしがちな学習者のモチベーションを高める方法、再び文学素材に親しんでもらえるような楽しみ方を提案してみたいと思う。
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JACET関西支部文学教育研究会
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2021-11-08 : 例会案内 :
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Author:bungakukyouiku
文学教育研究会ブログへようこそ。本研究会では年に5回、同志社大学今出川キャンパスにて例会を開催しております。ご関心のある先生方はぜひご参加ください。

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