JACET Study Group for Literature in Language Education (JACET文学教育研究会第13次プロジェクト)

文学教育研究会6月例会のお知らせ

平素は文学教育研究会にご理解、ご協力を賜り有難うございます。季節外れの真夏日が続く毎日となりましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。さて、文学研究会6月例会を以下の要領で開催したいと存じます。お忙しい折かとは存じますが、皆様、万障お繰り合わせのうえご出席くださいますようご案内申し上げます。


                                      記

日時:2016年6月18日(土曜日)14時00分?17時00分
場所:同志社大学今出川校地 烏丸キャンパス 志高館、SK102

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ご発表1
五十川 敬子先生(関西大学非常勤講師)
タイトル:文学教育を楽しむための補助教材の作成と実践報告 

 ロアルド・ダールの自伝作品Boyを元に作成された大学用英語テキスト『Dahl, Dahl, Dahl!:Reading Funny Tales from Boy 100倍楽しめるダールの物語』(松柏社)を使用した授業実践報告です。この作品では、いたずら好きのロアルド・ダールが少年時代を過ごした1920年代から1930年代半ばまでのイギリスでのエピソードの数々が、ユーモアあふれる筆致で描かれています。
編著者である森永弘司先生は、文学作品を読む楽しさと「パーシング」という精読方法を身につけることを主眼として、このテキストを作成されました。私は、作品へのさらなる理解のため独自のワークブックを作成し、補助教材として授業で使用しました。ビジュアルな資料を盛り込み、思考力を刺激するための工夫をこらしたワークブックは、受講生にも好評でした。編著者の森永先生にも見せたところ、「ダールに対する愛着がビビッドに伝わってきます」というご感想をいただきました。発表では、このワークブックを中心に実践報告をしたいと思います。

ご発表2
松田 早恵先生(摂南大学)
タイトル: The Perks of Being a Wallflowerを用いた授業実践報告 

 本発表では、アメリカで2013年度・2014年度に“Top 10 most frequently challenged books”にランキングされたヤングアダルト小説The Perks of Being a Wallflowerとその映画版を用いた授業実践報告をさせていただきます。実施したクラスは、外国語学部の3年次選択科目<トピックスタディーズ>で、受講者は男子26名、女子24名の計50名でした。The Perks of Being a Wallflowerは、ドラッグ、セックス、アルコール、暴力、同性愛、児童猥褻、自殺、精神病などデリケートな内容が含まれる作品なのですが、①アメリカの高校や大学を舞台に繰り広げられるストーリーは日本の大学生の興味を引くのか、②生き辛さを抱えている主人公が経験する葛藤や心理状態に学生がどのように反応するのか、③ストーリーのどの部分が学生の心に響くのかなどに注目しながら授業を進めました。授業初めと学期末に実施したアンケートや中間・期末の課題から学生の反応を読み取ってみたいと思います。尚、この作品にはアメリカの文化知識がふんだんに盛り込まれていましたので、本・雑誌、飲食物、スポーツ・娯楽、音楽、ゲーム、学校関連、薬物関連などのジャンルに分類したものも一緒に御紹介します。

ご講演
尾崎 寔 先生(同志社女子大学名誉教授)
タイトル:「私の英語遍歴とその終着点―リンドレー・W.・ハブル ―2016年の奇跡と悲劇を中心に」

 私も80歳という、おや、まだ生きていたのかと自分でも驚く歳になりました。42年間この学校で務めさせていただき、それがあってのお招きだと承知していますが、大体年寄りに長い話はさせるなというのは世間の常識です。パーティでも、大先輩が出席される場合、ご本人は久しぶりに熱弁を、と張り切っておられても。決してそんな方にスピーチは頼むな、そのための乾杯だ。というのは幹事役の心得です。実際には次第に周りの人たちがちゃんと耳を傾けてくれなくなったとひがんでいるところへ、乾杯どころか一時間を超える講演の依頼とあっては、勇み立つのも無理はないでしょう。私の経験では乾杯のスピーチ最長記録30分という猛者がおいでになりました。今日はどうぞご心配なく。ほんの3日前までまともに声も出ない状態でした。
 さて、本論に入ります。どんなお話をしようか、いろいろと考えた末、結局今一番話したいこと、となってしまいました。内容的にはこの15年の間に出版した数冊のハブル本ですでに書いたことと重複してしまいますが、同じトピックでもできるだけ英語とのかかわりかたに重点を移すよう心掛けたつもりです。
その上でのことですが。長年のハブル研究のなかでも2016年という1年が、いかに奇跡としか考えられないような出来事と、同様に経験したこともない重い気分との連続であったかということもお話ししたいと思います。
1) 面識もなければ、紹介されたわけでもない1読者からメール。アメリカ生まれの詩人、同志社大学での恩師リンドレー・ウィリアムズ・ハブル、日本名林 秋石の詩をいくつか訳して紹介した『ハブルを知らなかった人たちのために』を読み、ハブルの作品をもっと読みたいというものでした。私としてはハブルのスケールの大きさを知るにつけ、それを日本語に訳すというのは自分に可能な作業ではないと固く禁じてきた作業でした。しかしただただハブルを知りたい、もっと読みたいという文面は、真情にあふれ、打算や駆け引きなど、どう見ても隠されているとは思えず、少しづつ引き込まれていったようです。
2) こちらのためらいを見通してのこととも思えない素早さでした。年が明けるのを待っていたように直接アメリカの書店から価格そのほか何の条件も付けない古書が3冊届いたのです。その一冊が昨年10月に日英対訳本として私たちが発表したハブルの処女作『DARK PAVILION』でした。
3) アメリカの名門イエール大学が「イエール新人詩人賞」として設けているもので、若き詩人の登竜門としてはトップクラスの評価を受けている文学賞です。 今目の前にあるのがそのとき大学が副賞として出版した100部ほどの初版本の一冊なのです。
4) ハブルは1953年秋来日、明けて1954年4月同志社大学英文学科正教授就任。1971年定年で同志社を去りました。
5) 武庫川女子大学でさらに教鞭をとり、1994年10月2日京都で永眠しましたが、これは奇しくも恩人どころか、父とすら慕った元同志社総長上野直蔵博士が病いに倒れてからちょうど10年後のことで、そのためお二人の命日の前後の1日を選びハブル研究に新たな成果があれば、その発表、顕彰の集まりともしてきました。すでに「上野直蔵・リンドレー・W・ハブル追悼と英詩朗読の午後」と銘打ち、同志社の教室や会館を用いて昨年10月、第4回目を開催し、学外からの参加者、外国人の出席者も目立って増えてきています。英詩朗読という新しい分野も、女子大学に65年目を迎える「シェイクスピア原語上演」の伝統があり、にわか仕立てでは及びもつかない効果を上げているといっても言い過ぎではないでしょう。

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文学教育研究会代表 幸重 美津子
          副代表 時岡 ゆかり
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2016-06-16 : 例会案内 :
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